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2020年2月22日土曜日

農学と戦争

知られざる満州報国農場
足達太郎 小塩海平 藤原辰史 著

戦争についての本を読み始めると 
関連したものも読みたくなり この本を読みました。

満州国という 侵略した場所における日本の偽の国家において
日本における 農村の人口過剰からの 食料不足の解消に
この満州国に 人を移動させ かつ 日本への食糧供給をさせる。
そして その計画を 政府が主導して 
世界恐慌で 生糸などが売れなくなって 
困窮していった農民たちや 農学生を 送り込んだのだ。

この地の最大の 目的は
ソ連からの防御でもあった。
人の盾としても考えられていた。

終戦後 守ってくれるはずの
兵隊は一足先に逃げていて
残された人々は 現地の人たちや ソ連兵に
(一部の日本の兵隊にも)
略奪され 襲われていった。

現地の人たちは 突然来た日本の兵隊などに
土地や家を奪われた(買い取ったそうだが それが適正価格であったかどうか?)
だから 何も知らなくて 土地を耕しに来た人達に対して 憎悪が湧いてしまうのは仕方ない事だと思う。

勿論 現地の人も 助けてくれたりしていたようです。
助けてくれた方は 命がけだったようです。

こういう内容は 知っていたんですが
この本は 農大が かかわっていた事を 中心に書かれていました。

戦局が悪化しているにもかかわらず
(大陸にいく船が 大変な目にあって すぐに出発できなかったのだから)
行くのをやめればよかったのに。
新入生たちは 満州国に行かされる。
入学式を済ませて 座学などなく 満州国へ向かった。
日本も空襲を受け始めていたので 日本にいるより安全だろうという事で
家族も安心して送り出したのだ。
行くと 食料も少なく 病に倒れる人もいた。

そして8月に入って ソ連が動き始めて
終戦となる。

農学生たちや 農夫たちは  シベリアなどに送られてしまった。
勿論現地に 開拓で来ていた 女性たちも 慰安婦として とらわれてしまった。

行方不明になってしまった人や
自殺してしまった人など 数字には出ていなくても
多くの人が 命を落としてしまった。
あまり 語られる事がないけれど こういう事も含めて
戦争なのである。

ちょっとこの本は 固い文章なので 読み進めるのが 大変でしたが
多くの人に読んでもらいたいと思いました。



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